神姫バス(兵庫県姫路市西駅前町)は4月に新組織「地域事業本部」を立ち上げた。地方創生に資する社会課題解決型ビジネスに取り組み、2027年の創立100周年までに新しい収入の柱に育てようとする。
同社は2020年初頭に始まった新型コロナの感染拡大で旅客輸送事業が大きな打撃を受ける中、路線バスで山間部の野菜を都心に運ぶ「貨客混載」、高齢者の健康寿命を延ばす「フレイル予防ツアー」、古いバス車両を改造した移動サウナ「サバス」など若手社員発案の新ビジネスの試みに次々挑戦してきた。この過程で、バス事業には人を運ぶだけに止まらない様々な可能性があることを再認識し、全社挙げて地域事業に注力していくことを決めたもの。
同本部は、地域の魅力あるコンテンツを集めたECサイトの運営や地域商社としてのコンサル事業を手掛ける「地域事業推進課」、書写山ロープウェイ(姫路市)やsoraかさい(加西市)など公共施設の管理運営業務を請け負う「公民連携事業課」、豪華バスツアーを企画する「真結(ゆい)事業課」、農産物を都心の百貨店やスーパーなどに卸売りする「アグリ事業課」の4課で構成する。
このうち、地域事業推進課が第1弾プロジェクトとしてECサイト「Local Prime(ローカルプライム)」をすでに開設。インターネットで但馬牛やハーブティーなど県内の名産品や特産品を通販するほか、観光・体験・宿泊ツアーなどを予約できるようにしている。今後、同サイトを通じて路線バス沿線事業者への誘客を促進する仕組みを構築していくという。
新型コロナの完全な収束見通しが立たず、同社グループの経営を取り巻く環境は不透明な状況が続くが、多様な事業領域で長年培ってきたノウハウをベースにした〝まちづくり事業〟を新しい時代の成長につなげ、生き残りを図る。