「農福連携で新特産品に」と姫路大 高機能マメ科植物「八升豆」の研究を開始

経済・企業

 農学部新設を目指す姫路大学(姫路市大塩町)が、同学部2本目の柱となる研究テーマで新しい取り組みを始めた。
 1本目のテーマは畜産に関するもので、但馬牛を食べた人の生理的反応「牛肉セラピー効果」を科学的に検証し、美味しい和牛を生産する総合的なシステムの開発につなげようと、2年前に立ち上げた畜産研究所ですでに実験や分析を進めている。
 新しいテーマは農業分野で、題材はネパール原産のマメ科植物「八升豆」(ムクナ豆)。古来より日本でも栽培されたが、乾燥や脱粒作業が機械化できず手間がかかることから明治に入ってから衰退し、現在は全国で10トン程度しか収穫されていないという。
 この八升豆が運動神経をつかさどる神経伝達物質の原料となるアミノ酸の一種「Lドーパ」をソラマメより10倍多く含有していることに着目。パーキンソン病患者の症状緩和が期待できることから、超高齢化の日本を救う栄養補助食品になると考えた。また、栄養価も高いことから、良好な体調を維持する健康食としての需要0も見込む。

実験農場で栽培した八升豆

 手始めに昨年春から県内4カ所の実験農場で栽培したが、想定した半分程度の数10㌔㌘しか収穫できなかったため、今年は栽培面積を10倍に拡大することに。収穫後はサヤごと乾燥させ、今のところ手作業となる脱粒・選別工程について、心身にハンディを持つ人たちの就労を支援するNPO「姫路こころの事業団」(姫路市白浜町甲、濵中美喜子理事長)に委託することも決めている。
 最終的には、きな粉やマイクロパウダーにして味噌に練り込んだり、お茶や菓子の材料にするなど、新しい姫路の特産品として世に送り出す計画。そのためにも、効率的な栽培法や乾燥法の確立、加工の機械化、栄養学上の研究を急ぐ。
 姫路大を運営する弘徳学園の上田正一理事長は「農福連携にも意義がある取り組み。研究所を『農畜産研究所』に改め、こころの事業団の力も借りながら基礎研究を進めたい」と話している。

収穫して乾燥中の八升豆

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