JR相生駅から10キロほど北上した緑豊かな山あいにある相生市矢野地区では、古くから〝炭焼き〟が地域の基幹産業として盛んに行われていた。
かつては周囲に専用窯が数多くあったが、時代の変遷とともに木炭の需要が減ったため、現在では残っていない。しかし、そのような伝統技術を次代に継承しようと取り組むチームがある。地元林業研究グループの炭焼き部会(9人)だ。
代表の嶋澤隆一さん(76)によると、部会の活動は害虫の多い真夏を除いた10カ月。その間に合計1.5トンの木炭を生産するのだという。木炭は原木の4分の1に質量が小さくなっているので、実に6トンもの材木が必要になるという計算。材木の確保だけでも重労働だ。
会員は最高齢が85歳。皆さん、まだまだ元気に頑張ってはいるが、やはり意思を引き継いでくれる若者の登場が待ち遠しいとのこと。入会は同市に在住または勤務していることが条件だが、会員でなくとも7〜8月以外の毎月第3土曜、日曜に矢野地区のキャンプ場「羅漢の里」へ行けば体験できる。
これからの季節には屋外でのバーベキューで木炭が大活躍するし、家庭菜園の土壌改良には粉炭が有効、害虫駆除には木酢液が効果を発揮する。羅漢の里周辺にはアスレチックサイトやコテージが整備されていて、家族連れでも楽しめるので、ぜひ一度、見学・体験に訪ねてほしい。