旧習突破に挑戦し続ける姫路の気鋭林業家
全国各地で山林が放置されている現状を何とかしようと挑戦する会社がある。明治初期から山林資源の流通に関わってきた、兵庫県内有数の林業事業者「山田林業」(姫路市北平野)だ。
林業は、自社保有林から材木を伐採して木材市場で取引するというのが通常の流れだが、同社の場合は所有者から山を預かって森林整備するという点が特徴。
山田尚弘社長(55)によると、時間をかけて構築した製材所や商社との強固なネットワークが、伐採から製材、販売まで一貫したビジネスを可能とし、それが結果として山主にも利益還元というメリットをもたらしているのだという。
他の産業分野では製造・直売という事業フローはよくあることだが、林業の世界では10代続いていないと一人前と見なされないほど古いビジネスモデルが続いているため、こうした発想になかなか繋がらなかった模様。山田社長はまだ5代目、後発であるがゆえに因習にとらわれない思い切った行動ができたのだろう。
全国各地での放置された山林が近年の集中豪雨で甚大な被害を起こしていることに、「本来は資産であるはずの木材が、自然災害の元凶扱いされるのは耐えられない」と山田社長。今後はエネルギーの地産地消による地域活性化を狙ったバイオマス発電を始めるほか、Co2クレジットの発行にも取り組んでいく構え。従来型林業から二歩、三歩と歩みが進むことで、豊かな森の保全と経済活動の好循環が地元で生まれることを願う。
〈株式会社山田林業〉
姫路市北平野1丁目12-11
Tel. 079-282-2329
https://yamada-forestry.com