神崎郡福崎町や加西市などで高齢者や障害者の福祉施設を運営する社会福祉法人円融会(福崎町大貫)が創立40周年を迎え、このほど関係者150人を招待して神戸市内で記念式典を開いた。
同会は、「親は家庭で面倒を見るのが当たり前」との考え方がまだ強かった1983年、禅宗僧侶でもある前川清寿理事長(81)が41歳で設立した。
祖父母に育てられた前川氏は、幼少期から住職だった祖父を手伝って檀家回りに勤しみ、地元高校を卒業すると仏教修行のため一時離郷。ところが修行を終えて檀家を回ってみると、かつて「ぼん、ぼん」と呼んで自分をかわいがってくれた人たちの姿が見えないことに気付く。この時、年老いて納戸で身を隠すように寝たきりになっているのを家族から聞き、衝撃を受けたことが特別養護老人ホームを設立する動機になった。今では千葉県や神奈川県でも施設を運営するほか、大阪大学大学院とともに工学の知見から健康を研究する活動にも取り組んでいる。
式典で前川氏は、これまでの歩みをつぶさに振り返り「地域、行政、多くの職員に支えられてここまできた」と感謝、続けて座右の銘である『百尺竿頭に一歩を進む(すでに努力を尽くした上にさらに工夫を加えて努力すること)』を紹介し、「これからも未来に向かって新しい福祉の形をつくる努力を続けていく」とまだまだ現役で奮闘していく決意を述べた。
また、伝統河内音頭の河内家菊水丸さんがゲストで登場、「創立四十周年御祝音頭」を披露して会場を盛り上げた。