播磨地域で活動する文化人・団体の相互交流に取り組んでいる姫路地方文化団体連合協議会(小坂学会長)が独自に選ぶ「姫路文化賞」と「黒川録朗賞」の今年度の受賞者が決まった。
姫路文化賞は隠れた業績を持つ個人や長年にわたって文化活動を続けている団体に贈るもので、歴史研究家の小栗栖健治さん(67)と写真家の松本コン太さん(85)が選ばれた。
小栗栖さんは京都府出身で、1982年から兵庫県立歴史博物館に学芸員として勤務することになり、姫路に移住。2005年に村祭りの歴史をまとめた著書「宮座祭祀の史的研究」を出版し、翌年に博士号の学位を取得した。14年に催行された播磨国総社の三ツ山大祭はじめ県内伝統祭事の調査チームに多数参加し、播磨学研究所副所長や関西大学非常勤講師も務めるなど、研究と教育に大きく貢献してきたことが評価された。
松本さんは姫路市在住。朝日新聞社大賞はじめ受賞歴多数。雑誌への掲載、個展開催のほか、指導にも力を入れ、播磨の写真芸術の発展に寄与してきた。号の由来は愛機のコンタックスからという。
将来性ある活動を応援する黒川録朗賞は、文芸家の瀬川健二郎さん(74)と詩人の野田かおりさん(39)、邦楽家の松崎晟山さん(46)、工芸家の村岡正樹さん(55)のいずれも姫路市在住の4人が受賞した。
また、文化功労賞には中世城郭研究家の木内内則さん(74)(神戸市)と調律師の宮川吉正さん(71)(揖保郡太子町)、特別賞に音楽家のベノワ・ミロゴさん(35)(姫路市)が選ばれた。ベノワさんは、西アフリカのブルキナファソで世襲により地元の伝統を人々に伝達していく役割を担う家系の生まれで、ジャンベ(太鼓)やバラフォン(木琴)、ンゴニ(弦楽器)などあらゆる伝統楽器を奏でる演奏家。日本と故国を行き来しながら精力的に活動、アフリカの心と風を日本人に届けている。
●小栗栖健治さん(右)と松本コン太さん