【新時代に挑戦①】福井タイヤ

新時代に挑戦

作業員の働き方改革と乗務員の安全・安心を

ものづくり産業の縁の下の力持ちが運輸業界。姫路市内では大手製造拠点が集積する臨海部に特に多くの運送会社が集まるが、それらをさらに下支えする黒子役の1つにトレーラーやトラック、バスなど大型車両向けタイヤを販売・修理する「福井タイヤ商会」(姫路市神屋町)がある。コロナ禍で地域経済は停滞気味だが、同社は数億円(総投資額は非開示)を投じて新店・飾磨港営業所を開業する。大塚隆社長(52)に狙いを聞いた。


新しく開く飾磨港営業所

──自社を取り巻く環境はどう変化してきたのか?

戦後に祖父が播磨国総社南の元塩町で創業して73年が経つ。当時は荷馬車用ゴムタイヤの修繕・交換がメインで、馬の糞掃除も仕事のうちだったと聞いた。近所に塩の取引所があったらしく、頻繁に荷馬車が往来して活況を呈したそうだ。

その後の自動車の普及拡大と時を同じくしてタイヤメーカーと代理店契約(現在はブリヂストン)、高速道路の建設ラッシュを商機とみて西播磨各地に営業所を出店し、建設資材を運ぶダンプカー相手に商売した。当時は競合が少なく、これも好調だったらしい。

播磨臨海地域には1981年に広畑区で営業所を出店。もちろんメーカーの物流需要を当て込んでのこともあるが、工業用品や産業機械をタイヤと並ぶもう一つの柱に育てる狙いもあった。ブリヂストンの高付加価値ゴム製品をラインナップするようになり、今では製鉄関連を中心に多くのメーカーに取り引きいただいている。

──コロナ禍収束の見通しが経たない中で新店舗を開設する。

新営業所は老朽化した浜国道(250号)沿いの広畑営業所を移転リニューアルする意味もあり、コロナ前に用地取得していた。昨年の感染拡大初期は経済の先行きが見通せずに計画を足踏みしたが、巣ごもりで宅配ニーズが急騰し、鉄やスクラップの陸送も徐々に戻ってきたので、今後も手堅い需要が続くと最終判断した。

──新営業所の特徴は?

立地は飾磨区細江の浜手緑地南向かい。角地の特性を活かしてドライブスルー型のピット配置にした。つまり、大型車両が前向きに進入して、作業完了後もそのまま前向きで道路に出られる。広畑営業所では通行車両を東西方向とも作業員が一旦止めて後ろ向き入店を誘導せねばならず、追突事故が起きる危険性があった。広さも2500平方メートルと広畑の3倍以上になった。大型車両3台を同時に作業できる。繁忙期に朝7時から昼頃まで道端で順番待ちしてもらっていた状態が改善される。

取引先事業所に近くなったということも大きい。実は、取引先は広畑地区でなく飾磨地区に集中している。夕方、帰宅ラッシュ時間帯の出張サービスを考えると往復で1時間も移動時間を短縮できることになり、作業員の働き方改革につながる。また、競合店ではまだまだ普及していない前輪用の埋込式ジャッキを導入したので、店舗内での作業効率も飛躍的に上がる。大型車両1台につき12本、16本のタイヤを全部交換するのに2時間かかっていた作業が1時間半で完了する。

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