【今こそ人間学vol.8】 偽・私・放・奢を国の重患と為す

コラム

 現代人は自分を見失って段々と機械化、組織化、大衆化し、動物化していっているように思えてなりません。現代文明は人間に便利さや快適、快楽をもたらしましたが、人間を遊惰にしてしまいました。そういう生活は人間として真ではなく、偽だということに気付いてほしいのです。今日の人間、今日の時代、今日の文明を救うには、どうすれば良いのでしょうか。
 偽の生活と私利私欲を求めていると自己は放埓になり、その結果、豪奢な生活ばかりを考えるようになって後戻り出来なくなるのです。後漢の学者荀悦(じゅんえつ)は、ここに挙げた偽・私・放・奢を国の「四患」だと戒めました。為政者も、この中の一つでも目立てば国が傾くと恐れ、世の中の変化の兆しを知る視点としたのです。
 最初の「偽」は、嘘、偽りです。小事はすぐ分かりますが、社会・公共となるとその真偽が紛らわしくなります。野望を遂げるにはそれを丸出しにしては通らないから、さも真実らしい理屈を付けて巧妙に偽るのです。特に政治に嘘があっては国が混乱するのは自明の理です。
 次に「私」です。我が国は建国以来、「公の精神」を大事にしてきました。戦前の政治家を調べてみてください。昔から政治家になるということは私産を失うのが常識で、それを覚悟の上で、止むに止まれぬ志で政界に出たものです。現代は皆さんのご存知の有様です。
 三つ目は、「放」です。要するにデタラメで、出たとこ勝負の無軌道、放埓、無礼、無責任が横行しています。礼儀も、道徳も、秩序、法律も何もかも無視して、自由や権利を盾に勝手放題やって反省がありません。人間は厳(げん)より寛(かん)には容易に移りますが、一度、放縦の味をしめると「厳格」には堪えられないのです。
 最後は、「奢」です。奢侈(しゃし)贅沢が人を駄目にすることは大人なら知っています。また、イソップ童話のアリとキリギリスは幼稚園児も知るところです。
 亡国の兆しは組織崩壊の兆しとも言えます。皆さんも「四患」の視点で組織を見直してみてはいかがでしょう。

(一般社団法人 令和人間塾・人間学lab. 理事長 竹中栄二)

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