創業131年、オリジナル環境素材のサプライヤー
内需先細りの時代、私たち中小企業は競争相手のいない新しい市場を開拓しなければ生き残れない─。人口減少とIT化で一層厳しさを増す今後の事業環境を見据えて、紙卸売の老舗がいま、ユニークな商品アイテムを増やしている。すべてに共通するのが「オリジナル環境素材」というキーワードだ。釜谷紙業の釜谷泰造常務に紙業界の現状や同社の取り組みなどを聞いた。
釜谷紙業の姫路事業所
明治から続く老舗。どのような歩みを辿ってきた?
明治23(1890)年の創業だが、紙の卸売事業そのものは江戸時代から続く。新宅分けで事業譲渡された。東播磨はもともと、米や播州織、生活物資の加古川舟運で栄えた地域で、私たちの先祖は障子やふすま紙、帳面などに使われる和紙を加古川流域で扱ってきた。明治30(1897)年に三菱製紙が高砂に進出するといち早く特約店契約を結び、洋紙を播磨全域の印刷会社や文具小売会社に卸すようになった。大手製紙工場とのパートナーシップで業容を拡大できたといえる。近代化の波にも乗り、現在は紙以外に、播磨灘沿岸部に広がる工場群に向けて副資材としての段ボールケースや包装資材の扱いが相対的に増えてきた。
新型コロナウイルスの感染拡大は紙業界にどのような影響をもたらした?
人口減と活字離れでかねてから新聞や書籍の需要が減っていたのが、昨年はコロナの煽りでさらに約20%の需要が業界全体で消失した。折り込みチラシや旅行パンフレット、土産物の包装紙やパッケージが顕著な例だ。
ネット通販の巣ごもり需要で段ボール業界の市場は拡大したのでは?
ネット通販は盛況であり、当然、段ボール業界全体にプラス影響はあるが、当社も含め比率は大きくはない。通販の商品は1個ごとのサイズが小さいので、いくら個数が増えても工業製品用の売上に比べると大きくはなっていない。
工業製品用は多数の工場の操業度が低下した昨年は苦戦したが、今年は回復基調。あと2、3年この傾向が続けば、業界も再び過去最高の市場規模に到達すると言われている。
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