ロシアの軍事侵攻によるウクライナ戦火の一刻も早い終息と世界平和を祈る演奏会が8日、在日ウクライナ大使館の協力のもと、夜桜舞う姫路城で開催された。
ブルーの姫路城、イエローの西の丸庭園とウクライナ国旗にちなむカラーでライトアップした特別ステージで、ウクライナ人音楽家カテリーナさん(36)が約60本の弦を持つ珍しい同国の民族楽器「バンドゥーラ」を奏でながらウクライナ民謡や日本のフォークソング「翼をください」、ジョン・レノンの「イマジン」など5曲を熱唱した。
カテリーナさんはチョルノービリ原子力発電所から2.5km離れた町プルィーピヤチ生まれで、生後30日の時に原発事故に被災し、 6歳の時に被災児たちで構成された音楽団「チェルボナカリーナ」に入団した。海外を含む多数の公演に参加してきたが、特に日本の素晴らしさに感動し、19歳から音楽活動の拠点を東京に移している。現在、日本に2人しかいないバンドゥーラ奏者の1人。
今回の演奏会は、ウクライナ大統領夫人のオレーナ・ゼレンシカさんのプロジェクトの一環で、昨年夏に姫路城のウクライナ語パンフレットを作成したことで始まった市民レベルの草の根交流が縁となった。
演奏会の終了後、駐日ウクライナ大使セルギー・コルスンスキー氏は「平和の象徴である姫路城で演奏会を開くという夢が叶った」、カテリーナさんは「大変な時こそ、誰が本当の友人かが見えてくる。日本の皆さんの支援、協力に感謝している」、清元秀泰姫路市長は「姫路市も無関心でなく、隣人として常に寄り添っていきたい」とコメントした。