【新時代に挑戦 vol.16】令和人間塾・人間学lab.

文化・歴史

「社会を明るく照らす人物を育てていきたい」四書五経を基に徳育進める私塾

令和人間塾・人間学ラボの事務所内ライブラリー

 徳育=人間学を軸に、社会を明るく照らす人物の育成を目的とする一般社団法人「令和人間塾・人間学lab.(ラボ)」が2021年春から姫路市を拠点に活動を始めた。「悩める現代人にとって、自分を大切にし、活き活きと生きていくのは難しいこと。先人が残してくれた貴重な経験の記録(古典)を基にして、ブレない自分を練り上げるお手伝いをしたい」と話す竹中栄二理事長。塾が取り組む教育の本質を聞いた。

人間学とはどのような学問か。

 辞書的には「人間とは何か」「人間の本質とは何か」という問いに答えようとする学問ということになるが、当塾では「いかに人物たりうるか」「いかに他人に良い影響を与える人物になるか」を追求する学問と捉えている。『人物学』と言い変えても良い。

今、なぜ人間学が必要と考えるのか。

 人間または人物ができていないと良い仕事もできないし、究極的には良い終末を迎えることもできないだろう。日々のニュースを見聞きしていると、続発する凶悪事件や企業の不祥事など、日本がいかに病的な状態にあるかも一目瞭然だ。社会秩序の乱れを原因追求すると、「徳性の欠如」に行き当たる。かつては学校で厳しく教育されていた「修身」という科目が戦後の日本解体政策で廃止され、国の成り立ちや歴史の話、偉人・先哲の教えが黒塗りされた結果、戦後の学校教育は偏差値重視の知育第一に陥った。さらに近年は、オリンピックやプロを目指して幼少時から練習漬けにする体育偏重主義も跋扈する。そこでは人間として最も大事な根っこの部分の育成、すなわち徳育が全く無視され、そのツケが今になって全て露出してきていると考える。そこで、幼児から大人まで日本人全員が〝日本のこころ〟を正しく取り戻すための学びを、社会教育として取り組む必要があると思い至った。

塾の学びの中身と、活動の内容は。

 古くから東洋には、人物となるための基本的な学問として、孔子の唱えた儒学がある。それを体系化した書籍に四書五経(四書=論語・大学・中庸・孟子、五経=詩経・書経・礼記・易経・春秋)があり、為政者が学ぶべき帝王学の書として読み継がれてきた。江戸時代の藩校でも、これを中心に武士の子弟たちを指導した。その流れを受け、昭和の巨人と称された哲学者、安岡正篤先生が昭和24年に起こした勉強会「師友会」の活動が全国に広がった。また、安岡先生の薫陶を受けた伊與田覺先生が、102歳で亡くなるまで大阪と京都を中心に勉強会を続けた。
 当塾では両先生の教学精神を継承し、四書五経の内容をベースに、人としての基礎を高める学びを実践していく。具体的には、年に2回の定期講演会や毎月の定例講座を中心とした座学、会員同士の交流会、農山村に泊まり込んでの自然体験研修などを行っている。

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