軍師として名高い藩祖・黒田官兵衛と、初代藩主として西日本第2の都市として発展する地元の基礎を築いた嫡男長政の功績を伝承するため、旧福岡藩関係者らが立ち上げ、130年にわたって活動を続けている一般社団法人「藤香会」(福岡市、山崎拓会長)の一行32人が11月20・21日、父子の生まれ故郷、姫路市を訪れた。
東京在住の黒田家16代当主・長高氏夫妻も参加しての視察研修旅行。姫路で黒田家の功績を研究する「播磨の黒田武士顕彰会」が案内役を務め、初日に灘菊酒造で歓迎レセプション、翌日に官兵衛の父・職隆の廟所(同市飾磨区妻鹿)と2019年建立の官兵衛神社(同市広嶺山)への参拝を段取りした。
現在の職隆廟所は1977(昭和52)に地元自治会が修復したもの。江戸時代の古文書によると、1783年(天明3)に姫路城下の僧侶が妻鹿村で職隆の墓所を発見、福岡藩が現地調査して廟所整備を行ったとある。その際に墓所の地中から出土した複数の珪化木(植物の化石)が福岡に移され、今も職隆の位牌を祀る大長寺に祀られているほか、一つは3年前に姫路に里帰りし、ご神体として官兵衛神社に納められたという経緯がある。
廟所では、同顕彰会の神澤輝和さんが「官兵衛はクリスチャン。キリスト教では岩を神にたとえるが、住民の安寧を祈って珪化木を墓に埋めたのではないか」などと両市の関係や妻鹿の歴史を解説。全員で記念撮影した後、大長寺僧侶の読経に合わせて礼拝し、先人に思いを馳せた。
長高氏は毎年、命日の8月22日に地元住民らで法要が行われていることに感謝を述べ、山崎氏は「今日は史跡中の史跡を訪ねることができた。いろんな思いが繋がって今日があると改めて感じた」と感慨深げに話していた。