姫路城の世界遺産登録30周年を記念した「平成中村座姫路城公演」の模様が、NHK教育テレビ「古典芸能への招待」で紹介される。5月の公演期間中は、姫路の街が中村座の話題でもちきりになるほど歌舞伎一色に染まった。番組では、公演で上演された「棒しばり」と「天守物語」の録画を放送する。
次郎冠者役を勘九郎、太郎冠者役を橋之助、曽根松兵衛役を扇雀が演じた「棒しばり」は、同名の能狂言を元にしたユーモア溢れる演目。
ある田舎の大名(曽根松兵衛)が、自分の留守中に家来(次郎冠者と太郎冠者)が酒を盗み飲みしないよう、2人の両手を縛って出かけるが、2人は知恵を絞って協力しながら酒を飲むことに成功。すっかり酔っぱらってご機嫌で踊る中、大名が戻ってきて…。棒に両手を縛られながらも息の合った2人のコンビネーションが見どころ。
天守物語は、姫路城天守に隠れ住むといわれた異界の姫の伝説を題材にした泉鏡花原作の物語で、富姫と若武者図書之助との間に芽生える純粋な愛を描く。
坂東玉三郎が演出し、自身が唯一演じ続けてきた富姫役を七之助が初役で演じ、図書之助を若手ホープ虎之介が演じた。美しい言葉や表現を交えながら、異世界の天守と俗世界の城下との対比が見事に描かれている。
放送は6月25日21時からの予定。今回、公演チケットが手に入らなかった人は必見。