二刀流で知られる江戸時代の伝説的剣豪宮本武蔵の銅像が太子町で建立された。
剣術の名家吉岡一門や鎖鎌の宍戸、槍の道栄、細川家剣術指南佐々木小次郎らとの決闘を圧倒的な迫力で描いた映画「武蔵─むさし─」(2019年公開)で脚本・監督を務めた芦屋市の三上康雄氏が寄贈したもの。2本の刀を構えて眼光鋭く相手を睨みつけている。
設置場所は同町宮本地区にある石海神社南の公園。武蔵の生誕地は高砂市や岡山県美作市だという説もあるが、五輪書にある通りの「生国播磨の武士」として武蔵の実像に迫った三上監督は、製作過程で同公園を訪れた際に「ここだとピンと来た」と話す。園内には約30年前に「生誕之地碑」が建てられ、生家跡として言い伝えられている公園西の広場には武蔵が産湯に使ったという古井戸も残っており、三上監督の計らいにより、地元では地誌「播磨鑑」に記されている揖東郡鵤荘宮本村(現在の同町宮本地区)説への期待度が一層高まった。
8月20日に行われた除幕式には地元関係者70人が参集。町観光協会の柳原政富会長は「これからは聖徳太子と宮本武蔵の二刀流で観光を盛り上げていきたい」と意気込み、地元で歴史ガイド活動を続ける宮本武蔵顕彰保存会の三輪元昭会長は「今にも動き出しそうな姿に感激した。地域ぐるみで末永く大切に守っていく」と約束。
取材に応じた三上監督は、「武蔵は武道だけでなく芸術面でも長けており、無から有を作り出すクリエイターだった。武蔵が何を考えて行動したのか、像を見て彼の繊細さ、緻密さを感じ取ってもらいたい」「太子町にはどんどんPRして観光に役立ててほしい」と話した。
同町は武蔵像の受贈を記念し、映画「武蔵─むさし─」の上映会を企画。丸尾建築あすかホールミニシアター(同町鵤)で8月23日・25 日・26日の3日間、各日10時~12時、14時~16時の2回行うことになった。事前申し込みは不要の各回定員80人で入場無料。開始時間の30分前から開場する。