男たちの熱気と力強い掛け声が響き、きらびやかな屋台が華麗に舞う─。播磨に祭りの季節が到来し、各地で伝統と歴史に彩られた独特の行事が続く。主な祭りのスケジュールと見どころを紹介する。
【姫路市】
氏子7地区の豪華屋台練り合わせと神輿の激しいぶつけ合いで全国からファンが押し寄せる松原八幡神社(白浜町)の秋季例大祭「灘のけんか祭り」は14、15日。
宵宮正午ごろから7台の屋台が順に宮入りし、拝殿前や楼門前広場で激しく練り合わせる。
本宮は、今年の練番・宇佐崎の氏子たちが早朝に白浜海岸で身を清めた後、13時頃に大幟とともに宮入りして3基の神輿を担ぎ出す。午後からの舞台は神社から西へ約1キロのお旅山広畠。松原獅子屋台が露払いしたすり鉢状の練り場では、宇佐崎が渾身の神輿合わせを見せた後、6台の屋台が次々に現れて怒濤の練りを繰り広げる。
飾磨地区では、恵美酒宮天満神社(飾磨区恵美酒)と浜の宮天満宮(飾磨区須加)で8、9日。
恵美酒宮は、8地区から繰り出す屋台の練り合わせが圧巻。最大の見どころは、差し上げた屋台の足場(泥台)に肩を入れて支えるという「台場練り」。練子たちの息が合わないと成功しない命がけの伝統技だ。
浜の宮では、力自慢たちが「サイテバチョーサー」の力声に合わせ、屋台を頭上高く持ち上げ、静止できる時間を競う「台場差し」を披露。
中島天満宮(飾磨区中島)と津田天満神社(飾磨区構)は12、13日。中島では中島、下野田、中野田地区が屋台練りや獅子舞を奉納。津田では神輿が御旅所(菅公小憩の地)へ向かい、行宮祭を終えて宮入りした各町屋台は、地面から一息で差し上げる「一気差し」を見せつける。
正八幡神社(船津町)は12、13日。宵宮13時に各町屋台が宮入り。勇壮な練りに続いて13時半から安泰と五穀豊穣を祈願する「龍王舞」の奉納。猿田彦命が悪霊を打ちはらう様子を表現しながら厳かに舞う。本宮は11時半から6台の屋台が宮入りして練り合わせ。13時10分から「龍王舞」、13時40分から雨乞いを祈願する「中野獅子舞」の奉納も。約5メートルの梯子上で獅子がスリルある舞を披露する。
大塩天満宮(同市大塩町)は14、15日。鎌倉時代から続く豪快な「毛獅子舞」が最大の見せ場。宵宮は毛色や表情の異なる8頭の毛獅子が登場し、祇園囃子の笛や太鼓に合わせて「道中舞」を披露した後、地区ごとに異なる舞で一連の物語を表現する豪快な「地舞」を奉納する。
15日は毛獅子舞のほか、氏子が翁の面を付けて舞う「御面掛神事」や金弊を持った稚児が宮入りする「一ツ物神事」も奉納する。
湊神社(同市的形町)は13、14日。神社と山陽電車的形駅前で見せる屋台7台の激しい練り合わせが呼び物。
市内ではこのほか、才天満神社(広畑区才)、菅原神社(広畑区小坂)、生矢神社(手柄)、甲八幡神社(豊富町)が12、13日。
甲八幡神社では男衆が屋台を担ぎ、標高107メートルの甲山山頂にある神社まで練り歩く。甲池湖畔に集結した色とりどり15台の屋台が並ぶ様子は壮観。見どころは本宮13時からの獅子舞奉納。山形に組んだ7メートルの梯子を猿とひょっとこが獅子を連れて登るという珍しい舞。
【赤穂市】
国重要無形民俗文化財に指定されている瀬戸内三大船祭りの一つ「坂越の船祭り」が大避神社(坂越)で12、13日。神社で航海安全を司る神事が行われた後、浜辺までの参道を神輿や獅子舞が練り歩き、続いて船渡御。神輿を乗せた船を先頭に、旗や幟を立てた頭人船が雅楽を奏でながら秦河勝を祀る生島まで渡る様子は、海上での大名行列さながら。夕刻になると、生島から戻ってくる船の高張り提灯が坂越湾を幻想的に照らす。
【上郡町】
高嶺神社(山野里)は12、13日。神輿と300人以上の氏子が練り歩き、巫女舞が行われる。両日、「野獅子」と呼ばれる荒々しい獅子舞が奉納される。
【高砂市】
曽根天満宮(曽根町)は13、14日。花笠をかぶった男児が氏子に肩車されて宮入りする「一ツ物神事」、10メートルの青竹を地面に激しくたたきつける「竹割り」、境内を馬が走る「馬駆け」など珍しい神事が続く。色鮮やかな布団屋台の練り合わせや奉納相撲のほか、境内には約200軒の露店が立ち並んで賑わいを見せる。
高砂神社(高砂町)は10、11日。1千年以上続く古式を今に伝える伝統の祭礼。10日の神幸祭で、頭家・一ツ物神事の後、「にぎわい物」と言われる押太鼓、だんじり、引き物が神輿とともに渡御。11日は例大祭で、9基の太鼓(屋台)が宮入りし、神事に続いて勇壮な練り合わせを行う。
【加古川市】
志方八幡宮(志方町)は12、13日。宵宮19時頃に電飾屋台が宮入りして拝殿前に集結。本宮は9時から神事、11時に屋台宮入り、14時から巫女による「浦安の舞」の後、呼び物の「胡蝶の舞」。胡蝶や鳥に扮した地元女子児童らが優美な舞を披露する。宵宮にはビンゴゲームや福引、本宮には餅まきも。