播磨を拠点に活動する文化人・団体の相互交流を支援する「姫路地方文化団体連合協議会」(小坂学会長)が選ぶ姫路文化賞と文化功労賞など今年度の各賞受賞者が決まった。
文化賞は隠れた業績を持つ個人や、長年にわたって活動を続ける団体に贈るもので、現代美術作家の氏平源吾さん(84)と著述家の横家伸一さん(74)が選ばれた。
氏平さんは赤穂市在住。小学校で教鞭をとりながら具象絵画を学んだ後、抽象画に転向。糸や布、木片を自由自在に用いて前衛抽象作品を作り続けており、美術の普及活動にも広く取り組んでいる。
たつの市在住の横家さんは県内の小・中学校事務職員として38年間勤務し、退職後に趣味の鉄道旅行をテーマにした著作を処女出版。その後、反戦・平和に身を捧げた偉人の伝記執筆に着手し、戦前最後の沖縄県知事・島田叡や国会での反軍演説で衆議院議員を除名された斎藤隆夫、玉音放送を流させた田中静壱、婦人運動家で三木露風の母・碧川かたを取り上げた。
文化功労賞は声楽家の林裕美子さん(72)(姫路市)と三木清研究家の室井美千博さん(75)(太子町)が選ばれた。
林さんは武蔵野音楽大学声楽科を経て仏パリ・エコール・ノルマル音楽院を首席で修了。ヨーロッパ音楽や宗教曲だけでなく日本歌曲の研究にも取り組み、エリザベト音楽大や武庫川女子大で教鞭をとるなど後進の指導にも力を注いできた。
室井さんは高校教諭のかたわら、現たつの市出身の哲学者・三木清の研究を重ね、1999年に「三木清研究会」を設立。コロナ禍をきっかけに講演会や例会をインターネット配信にしたところ大きな反響を呼び、研究活動を全国に波及させることに成功している。
このほか、特別賞・地域文化交流を図書活動の「姫路おはなしの会」、将来性ある活動を応援する黒川録朗賞を心象画家の小田かおりさん(46)、書家の武田清園さん(52)、舞台俳優の松井麗子さん(52)、音楽家の松本秀之さん(69)に贈った。授賞式は11月24日13時半から姫路市市民会館中ホール(同市総社本町)で行う。