大規模商業施設の誘致を目指し、土地区画整理事業の準備を進めている山陽自動車道龍野インターチェンジ(IC)周辺地区について、事業主体の地元まちづくり協議会が施工と施設誘致を担う竹中工務店グループ「竹中土木」大阪本店と事業化パートナーの覚書を交わした。
計画地は同市中心部近くの龍野ICすぐ南で、中央を主要幹線・網干たつの線が縦断する交通至便エリア。約22・5㌶の大半が農地で、地権者は約100人。
同線が供用開始された1997年当時、地権者にまだ農業継続の意思が強かったが、近年は後継者不足により農業維持が困難な状況で、さらに土地開発するにも農振農用地の利用制限があるため、地域一帯は長らく衰退傾向にあるという。
この状況を打開するため、市は2018年に地権者や企業にアンケート調査を実施。すると、地権者の土地利用の意向と企業の出店可能性が確認できたことから、19年に同地区の市街化区域編入を目指して地元住民による勉強会を立ち上げ、地域の課題やまちづくりの制度など協議・検討を開始した。昨年には、いよいよ事業を本格化させるため、同協議会を立ち上げると同時に、事業化パートナーを募集し、竹中土木を選んでいた。
今後は、間もなく土地区画整理事業の事業区域を決定し、23年度に土地区画整理事業準備組合を立ち上げる。また、24年度中頃に市街化区域へ編入して正式に組合を設立、25年度には造成工事に着手する計画。
覚書の調印式では、同協議会の内海忠之会長が「魅力ある商業施設を誘致し、子どもから高齢者まで安心して交流できるまちをつくりたい」、竹中土木が「組合設立の半年前には具体的な将来像を示したいが、スケジュールに引っ張られず、まずはしっかりと地権者の皆さんの合意形成を図りたい」と抱負。同席した山本実たつの市長は「市にとっても一大事業。全庁的にプロジェクトチームをつくって協力する」と約束した。
同市内ではコロナ感染拡大前に、同地区から約4・5㌔離れた山陽道龍野西IC付近でアメリカ発祥の会員制・倉庫式スーパー「コストコ」の進出計画が浮上したが、沙汰止みになったと囁かれている。このことから今回の龍野ICでは、市民の間でコストコへの期待値が増している。