建設現場での測量作業
──バブル崩壊で苦しい時期を経験した。現下の状況は?
バブル後は倒産企業が続出して先行きが全く見通せない状態。とにかく売上だけは確保しようと無理をして仕事を請け負い、年度予算も赤字で組まざるを得なかった。「失われた20年」と言われる長い不景気の間は本当に辛く当社も全社一丸となって堪え忍んできた。そこからアベノミクスの影響で地元企業も息を吹き返し、何とか持ち直すことができた。その時の思いを10年前の会社設立50周年時に「ご縁に感謝!!」というキャッチフレーズで表現した。景気が回復するにつれて市外、県外の新規顧客から仕事を依頼されるケースが増えてきたが、地元の得意先を優先して受注するように心がけている。地元第一主義を守っているからこそ、工事の延期や縮小など投資意欲が減退しがちなコロナ禍であっても一定の受注量を維持できているとつくづく思う。
──初志貫徹の一方で新しい取り組みにも力を入れている。
高い工事用フェンスに囲まれて現場が見えないことから〝ブラックボックス〟と表現されるように、閉鎖的な業界イメージの払拭にコツコツ取り組んでいる。具体的には、現場で働く職人の家族から募集して「息子よ、母は応援しているからね」とか「パパ、けがしないでネ」といったようなほほ笑ましいメッセージポスターをフェンスに掲示して安全意識を高めたり、地域清掃や街路樹の維持管理ボランティアに参加したり。昨年から経済産業省の「地域未来牽引企業」と日本健康会議の「健康経営優良法人」の認証を取得したことも、その一環。これらの取り組みは、社員が今まで考えもしなかったことを考えるきっかけにもなり、自社のイメージアップ、ひいてはブランド力向上にもつながると考える。今後も妥協せず継続していきたい。
日本工科大学校の生徒約60名が参加した現場見学会の様子