皇室ゆかりの寺院に襖絵を奉納した水墨画家・堂野夢酔君と

普段の生活はと言うと、毎朝7時に起床して出社は10時半頃。年を取ったらスローモーだから、すぐに時間が経つんです。出社したら⾃室まで階段で上がり、週2回はスポーツクラブに⾏くようにしています。

趣味だったゴルフは⾜が弱くなってできなくなったから、今はプロ野球観戦が楽しみですね。中学⽣時代からタイガースファンでね。甲⼦園でも年に1回は観戦しています。実は私も昔野球をやっててショートを守っていた。野球の後はゴルフに熱中して⼥房や⼦供放ったらかしにしてきたから、今頃しっぺ返しで相⼿してくれません。

陶磁器の収集にも凝った時期があったね。ドイツの現地法⼈の近くに陶磁器販売の大きな店があって、出張を繰り返すうち、知らん間に増えていった。たくさん買ってしまってね。喫茶店でもやろうかな、今から。

いろいろ喋ったけれど、⼤事なのは失敗を恐れず何かにチャレンジすること。新⼊社員の講話で最後に質問を受けたところ、1⼈が「失敗するとクヨクヨしてしまいます。どうしたらいいですか」と訊くから、「君らの年齢で失敗したって会社が倒れるわけないし、⼤勢に影響ないから、失敗しても取り返すんだと頑張ったらええやないか」と答えたんです。「安⼼しました」と⾔っていたけれどね。

私の座右の銘は、⾃分の⼀番悪い点を直さないかんということで、「継続は⼒なり」にしていた時期があったけれど、継続してもええ事と悪い事があるわね。だから、そういう事を引っくるめると「初⼼忘るべからず」という事に⾏き着いたね。

⼈⽣は何事も常に最初の気持ちを持って取り組む事が必要。これを企業活動に置き換えると、創業者精神を引き継いでいくという事なんですわな。(おわり)

尾上壽男(おのえ・ひさお)昭和10年姫路市生まれ。34年中央大理工学部卒、36年に国栄機械製作所(現・グローリー)入社。平成元年に社長、13年に会長に就き、26年から同社名誉会長。姫路商工会議所会頭、姫路市教育委員、兵庫県公安委員、姫路観光コンベンションビューロー理事長などを歴任。17年、旭日中綬章受章。

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