ストーンペーパーで作られたデザイン性の高いノート
最近はオリジナルの環境素材に注力している。どのようなものか?
第一に取り組んだストーンペーパーは、「脱炭素」のニーズに適う新素材だ。一般のパルプ紙の主原料は木材だが、ペーパーとは言えこの原料は約8割が石灰石。残りはプラスチックだが2割程度に抑制されている。水と油に耐久性があり、折りにも強い。パルプ紙と同じ土俵での環境比較は難しいが、選挙の投票用紙などに使われるオールプラスチック製「合成紙」などに比べると石油原料の使用量や焼却時の二酸化炭素排出量が大幅に少ないのも特長だ。世界で唯一、台湾メーカーが製造し、当社が日本の輸入元として国内展開している。全国の印刷会社を通じて徐々に広がってきている。
抗ウイルス効果を長期間発揮するクリーンフィックス
紙類以外の取り組みは?
当社発の長期抗ウイルス液「クリーンフィックス」がコロナ禍で多くの引き合いをいただいている。コロナウイルスを減らす液剤にはアルコールや次亜塩素酸水などが知られるが、それらは乾くと効果がなくなってしまう。ところがクリーンフィックスは塗布後数カ月から1年以上経過しても抗菌・抗ウイルス効果が継続する。実際に検査機関がこれを塗布した試料にウイルスを付着させて経過観察したところ、規定時間の2時間後には1千分の1未満に激減したということでJIS基準の最高評価を得た。施工業者を介さずにセルフで施工できるという点も他にはない大きな特長。すでに京阪神の大規模ホールや鉄道車両、学校や保育園、病院など数百施設で採用されている。これも当社が発売元をしている。
それ以外には、国立大学とも提携しながら植物を原料としたバイオプラスチック事業にも着手した。スターチを利用したオリジナルの新素材で、近い将来は一部のポリなどプラスチックに代わる素材になりそうだ。
オンリーワンのアイテムをこれだけ揃えるのも難しい。
類は友を以て集まると実感している。クリーンフィックスとバイオプラスチック新素材はいずれも在野の個人研究者が開発した。皆さん、せっかく良いものを開発したのに販売する仕組みがない。そんな時に当社の掲げる「オリジナル環境素材のサプライヤー」というキャッチコピーを展示会やホームページで目にしたのだそうだ。「ここなら一緒にやってくれそうだ」と。
本業から隔たりがあるように感じられるため、採用するにも社内でなかなか賛同が得られなかったアイテムもあったが、潜在ニーズがきっとあると信じて協業することにした。
世間で脱炭素や環境配慮はまだまだ掛け声先行の感。見通しは?
イメージ通りの市場構築には遠いが、産業界は確実に騒がしくなっている。欧州のように一気呵成とはいかないまでも、生産者、消費者ともに大きな流れはいずれ必ずくる。「ブルーオーシャンを作るのが企業の社会的使命だ」との信念で、少しずつ布石を打っていきたい。
独自の環境素材に取り組む釜谷常務
釜谷紙業株式会社
加古川市加古川町木村85
TEL.079-424-2222
http://www.kamatani.jp
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