近未来的な店内に数千種類のレザーが並ぶ
自社の現状は?
当社の取引先は国内に残ったメーカーがほとんど。値段だけで競争しても海外勢には勝てないので、取引先は必要な品を必要な数だけ作るとの考えにシフトし、私たちに多品種のレザーを少量で求めるようになった。生き物が相手のレザーはキズや大きさなど個体差があるので、私たちは受注数より多めに用意するのが定石なのだが、ロットが小さくなったことでその分のコストを吸収しにくくなった。そこで手元に残ったレザーの小口販売に取り組んでいる。
具体的な手法と結果は?
まずは10年前からインターネット販売を開始した。すると予想に反して沢山の個人客が付いた。たまたまタイミングが合ったのだろう、趣味でレザークラフトを楽しむ人や作品をインターネットで個人売買する人がリピーターになった。十分にニーズがあると分かり、ホームセンター店頭でも取り扱いしてもらうようになった。
次に2015年春、数千種類のレザーの中から1枚単位で購入できるレザーギャラリーを本社横に建設した。タンナー自らが常設で展示販売する施設は業界初なので、会社の知名度を上げるのにも非常に役立っている。
これら小口販売はコロナ禍でも好調で、緊急事態宣言中は百貨店や専門店が営業縮小した影響でメーカーへの販売数量は大きく落ち込んだが、ネットを通じて逆に伸びていったから驚いた。