妖怪のふるさと兵庫・福崎 車体に河童のガジロウ描いた観光EVレンタル開始

経済・企業

薄気味悪い姿のガジロウが自らをデザインしたEVをアピール

 河童や天狗など「妖怪のふるさと」として全国発信している兵庫県神崎郡福崎町が、観光庁の補助を受け、同町の人気キャラ「ガジロウ」を車体にデザインした電気自動車(EV)の観光レンタカー事業を開始した。
 同町は、地元出身の民俗学者柳田國男が書いた回顧録「故郷七十年」に出てくる河童伝説に着想を得て、「福崎にはたくさんの妖怪が住んでいる」との設定で観光誘客に取り組んでいる。これまでに、池の中からせり出す河童のガタロウ・ガジロウ兄弟、小屋から飛び出す逆さ天狗のアトラクション2機と、全国妖怪造形コンテストで寄せられたデザインをもとにした大型オブジェ5体を辻川山公園で展示しているほか、妖怪が座る長椅子「妖怪ベンチ」19基を町内各地に常設し、話題を呼んでいる。また、2019年秋にJR福崎駅周辺の再整備事業が完成したのに合わせ、駅前交流広場で河童が15分おきに出現する水槽「ガジロウチューブ」を設置し、来訪者を驚かせている。
 これらの取り組みを開始した2014年度以降、年間20万人台だった同町の観光客数は30万人を超え、昨年度はついに過去最高の49万人を記録。ただ、一方では、観光客の滞在時間が短く、町内での観光消費額も隣接市町と比較して低いことが課題として浮き彫りになっている。
 レンタカー事業は、この解決策を模索中に「地域の稼げる看板商品」創出を支援する観光庁の補助メニューを知り、妖怪を使った町おこしの独自性をアピールしたところ、総事業費800万円に対して650万円の補助が採択され、実現した。
 導入車両はトヨタ製の2人乗り小型EV1台。「妖怪ガジPod」との名称で、ボンネットにおどろおどろしいガジロウの上半身、左右のドアにシートベルトを着用したガジロウの横姿をラッピングデザインしている。最高時速60㌔、1回の充電で約150㌔走行できる。
 JR福崎駅前で行われた出発式では、尾﨑𠮷晴町長が「非常にインパクトのあるレンタカーが出来上がった。これで妖怪ベンチを巡り、SNSで発信してほしい」と期待を込めて挨拶。続いてガジロウの着ぐるみキャラクターも乗り込み、駅前を試走する様子をギャラリーに披露した。
 利用は土・日曜、祝日の8時〜18時で、利用料は4時間以内3千円、1日5千円、2日8千円。申し込みは神崎交通(同町馬田、℡0790・22・3322)。
 同町ではほかにも、観光交流センターで9月下旬から3Dプリンターを使った妖怪フィギュア製造工程の公開、10月下旬から妖怪ベンチのミニチュアガチャ販売(1回500円、10種類)を始めることになっている。

 

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