民俗学の父・柳田國男ゆかりの辻川山公園にある池で河童のガジロウが誕生して10年の節目を迎えた福崎町が、新たな観光振興の取り組みとしてJR福崎駅の観光交流センター南側壁面にガジロウのトリック3Dアートを設置した。
ガジロウが通りがかった人を水辺に引きずり込もうとしているデザインで、アートの斜め前に立つとガジロウの両手が壁面から飛び出しているかのように見える。制作費約100万円は、この企画に賛同した同町内の有力企業「福伸電機」が全額寄付した。
このほど行われたお披露目式では、同社の宮内康伴会長や同町の尾崎吉晴町長、同町ふるさと大使でガジロウの妹ガジ子こと松竹芸能所属の漫才師・アルミカン赤阪侑子さんらがガジロウとともにアートを除幕。宮内会長は「町の活性化に貢献してくれると直感して寄付を決めた。ますます賑わいのあるまちになってほしい」と地域に貢献できた喜びを語り、赤阪さんは「来る度に成長する福崎は、まさに西のディズニーランド。私も福崎の魅力を広めるためにもっと頑張る」と自分に言い聞かせるように挨拶した。
同町は妖怪を活かしたまちづくりに取り組み始めたことで観光入込客数を順調に増やし、10年前の約25万人から昨年度は約70万人と3倍近くに伸ばしている。尾崎町長は「妖怪の住むまちとして知られるようになったが、妖怪をきっかけに柳田先生の功績にも関心を持ってもらえるよう取り組みたい」と新たな展望を示している。