姫路市は、中心市街地での街乗りシェアサイクル「姫ちゃり」をリニューアルする。現行システムでのサービスを8月31日で終了し、スマートフォンアプリで決済する電動アシスト自転車を用いた新システムを導入して11月1日から再開する。
姫ちゃりは、公共交通による来街者へ二次的交通手段を提供することで中心市街地の回遊性を向上しようと、2回の社会実験期間を経て2016年夏に本格稼動した。キオスク端末(自立式の無人情報端末)で貸出・返却管理するサイクルポートを当初は姫路駅周辺の10カ所に設置して自転車80台を配備、その後、端末と自転車ともに段階的に増やし、現在は20カ所で150台を運用している。利用できる時間は7時〜20時で、1時間以内に返却すれば最初の100円で何度でも借りられる。
ただ、年間の運営費約3700万円に対して利用料収入は約1千万円。赤字をカバーするため17年からネーミングライツを採用し、ベビー・子ども用品大手「西松屋チェーン」(同市飾東町)が毎年500万円を協力してきたが、それでも市の持ち出しは年間2千数百万円あり、当初から採算性の確保が課題となっていた。
このため、市は負担縮減と利便性向上の一挙両得を狙ってプロポーザルを実施することに。その結果、参加5社の中から選ばれたのが、市の拠出金を開始2年間だけに抑える「ドコモ・バイクシェア」(東京)のプラン。市が負担するのは1年目の5千万円と2年目の900万円だけで、3年目以降は不要となる代わり、利用料は全て同社の収入にするという提案だが、これにより契約5年間の市の年間平均負担額は現行の約半分に抑えられることになるという。
また、新システムはスマホで利用登録と施解錠ができるのも特徴。これによりキオスク端末が不要になり、将来的なポート展開が比較的容易になるので、利用者増とポート増の好循環が生まれるというわけだ。主管する市地域公共交通課も「簡単便利なシェアサイクルが拡大し、住みやすいまちづくりの一助になれば」と期待する。 新システムは24時間利用可能。料金は30分以内165円(予定)で、同日2回目以降の利用には同額が都度必要となる。4月からヘルメット着用が努力義務化されたことを踏まえ、利用者のスマホアプリ画面にメッセージを掲載するなど、着用の啓発にも取り組む。