太子町は、同町南西部に広がる沖代と米田の両地区で東西軸の「都市計画道路 揖保線」の東方延伸部分が2028年度に供用開始されることを踏まえ、両地区の沿道周辺エリア(16ヘクタール)で同町初となる産業団地の形成を目指している。
2年前に初当選した沖汐守彦町長が選挙公約の一つに挙げていた事業。市街化調整区域での官民連携による産業団地開発は兵庫県内でも珍しく、このほど同エリアの開発に関する実務を担当することになる民間事業者とパートナー協定を交わした。
両地区は姫路市余部区と網干区に接する農村地帯。開発が進む北東部との間をJR山陽本線に遮断されているため、高齢者にとっては役場に行くにも心理的に距離が遠く、孤立化が進む一因となっている。そんな中、揖保線を姫路市大津区のイオンモール前を走る県道和久今宿線まで延伸する事業が決定されたことから、地元自治会が「通過交通を増やすだけでは意味がない。後継者のいない農地で太陽光発電施設の乱立など無秩序な土地利用が進むのも防がねばならない」と発意。まちづくり協議会を立ち上げ、地元ニーズを踏まえた土地利用を同町に要望してきた経緯がある。
同町はこれを受け、協議会との勉強会や地権者への意向調査、企業ヒアリングを重ね、最終的に民間のノウハウと資金を活用して産業系用地を開発していく方針を決定。今年9月にプロポーザルで開発事業者の前身となる事業化パートナーを募り、加西インター産業団地で実績のある不動産開発ジオプランナーズ(神戸市、橋本賢良社長)と同社グループの測量会社ジオニックス(姫路市神子岡前、同)の共同企業体を選出するに至った。今後、地元協議会、パートナー企業とともに地区計画や事業計画を練り、事業の実現を目指すことになる。
このほど同町役場で実施した調印式では、地元協議会の武木田博祐代表がこれまでの歩みを振り返って謝辞。橋本社長は「全国から企業の進出意向を集め、地域の皆様が選べるような商業開発に貢献したい」、沖汐町長は「今こそ本気になって町南部の遅れを取り戻す。2027年度の市街化区域編入、開発許可申請・造成着手を目指す」と意気込みを語った。